アキレス腱炎は、アキレス腱自体が微細な部分断裂によって炎症を起こした状態で、腱のまわりの炎症をアキレス腱周囲炎といいます。
アキレス腱滑液包炎は、液体が詰まった袋状の滑液包の炎症で、かかとの皮膚とアキレス腱の間(アキレス腱後滑液包炎)、またはアキレス腱とかかとの骨の間(アキレス腱前滑液包炎)に起こります。
アキレス腱後滑液包炎では踵骨のハグルンド変形または「ポンプ隆起」と呼ばれる骨棘の形成に関係しています。アキレス腱前滑液包炎はアルベルト病とも呼ばれています。
アキレス腱は、ふくらはぎの筋肉(腓腹筋、ヒラメ筋)とかかとの骨をつなぐ体の中で一番太い腱です。この腱はじょうぶでほとんど弾力性がなく、ふくらはぎの筋肉の力をかかとの骨に伝える役目をしており、つま先立ちやランニングなどの動作を可能にします。健康な人では、アキレス腱とかかとの骨(踵骨)の間に滑液包が1つあります。この滑液包が炎症を起こすと腫れて痛み、アキレス腱前部の滑液包炎を引き起こします。異常な圧力や足の機能障害があると、アキレス腱と皮膚の間に滑液包が形成されることがあります。この滑液包も炎症を起こすと腫れて痛み、アキレス腱後部の滑液包炎を引き起こします。
アキレス腱炎、周囲炎、滑液包炎の病態メカニズムは多少の違いがあるものの、症状や治療についてはほぼ同様です。
アキレス腱は筋肉と比べると血液の流れが悪いところで、老化も進みやすいため、体重が急に増えたり、運動が過ぎたりして過度の負担がかかると、炎症をおこして痛みが出やすいところです。